問題社員と発達障害
最近、顧問先のご相談に、共通する問題社員の特徴があります。
1. 在職中
2. 40代~50代前半
3. 独身か離婚経験者または配偶者が病気療養中
4. 法解釈や道徳観等普遍的理屈で会社の非をただす
5. 被害者意識が強い
6. 自分を正当化する
7. 高学歴
8. 問題の長期化を嫌がらない
これに昨今取り上げられている発達障害との関連を調べてみました。
まず、代表的な発達障害は3つあります。
① 自閉症スペクトラム障害(ASD)
広汎性発達障害ともいい、自閉症、アスペルガー症候群で、キーワードは「つながらない」です。
② 注意欠如・多動性障害(ADHD)
不注意(集中が続きにくい)、衝動性(突発的に行動しやすい)、多動性(落ち着きにくい。多弁)でキーワードは「刺激の枯渇」です。
③ 限局性学習障害(LD)
聞く、話す、読み、書き、計算(又は推論)が極端に苦手でキーワードは「上手く学ぶことができない」です。
次に障害の特徴ですが、
ASDの場合
① 人との関係が苦手⇒他者への関心が希薄で、一人でいることを好み、そこに苦痛や孤独をあまり感じない傾向がある。
② 感情のコントロールが苦手⇒感情という直接的に目に見えにくいものを把握するのが苦手ですが、決して感情がないというわけではない。
③ 想像することが苦手⇒ルールや前例というモノサシを使って思考するという特徴。
④ 曖昧なこと、目に見えないものが苦手⇒他者や自分の感情やその度合い、疲労感や困り感などの感覚、物事の文脈によるニュアンスと程度を的確に想像することが苦手。
⑤ 関心事が狭くて深い⇒特に狭い領域を掘り下げて知識や情報を得たり、物を収集したりするなど、長い時間をかけて没頭する。
⑥ 一点集中で物事に没頭する⇒複数のことに頭を切り替えながら、同時並行に物事を進めることが苦手。
⑦ 手順ややり方などへのこだわりが強い⇒そのやり方ヲ容易に変えられない、それに従って行動したいという欲求が強い傾向にある。
⑧ 感覚の敏感さ⇒光や音、感触や味覚や臭覚、天候や気温、などに敏感な場合がある。
⑨ 特異的な時間感覚⇒時間の経過の感覚がつかみにくく、自覚以上に時間を費やしてしまっていることがある。
⑩ 睡眠リズム・生活リズムが乱れやすい⇒体内時計が乱れやすく、概日リズムと社会的な活動を可能とする昼夜のサイクルがズレやすい。
⑪ ワーキングメモリ機能が低い⇒一時置き場の記憶を踏まえながら情報処理していくのが苦手。
ADHDの場合
① 不注意⇒作業の細かなところでのケアレスミスや、約束を忘れる、時間に遅れる、頻繁に忘れ物や失くし物をする、なども生じる。
② 多動・衝動性が目立つ⇒成長して多動が消失したのではなく、体の多動は目立たなくなっていても、頭の中の多動は依然ある。
3つめには、うつ病などの二次障害の発症です。
「ケチな飲み屋」で診断できます。
ケ・・・欠勤
チ・・・遅刻
な・・・泣き言を言う
飲・・・能率の低下
み・・・ミス
屋・・・辞めたいと言い出す
こう見てくると、ASDとADHDが交わって問題化してきているような気がします。そして、うつ病などの症状が出てきている社員が実際居ます。
では、発達障害の特徴を持った社員へのアプローチはどうすればいいのか?
1. なぜうまくいかないとか不満と思っているような観点をもとにして、本人に病院等への「相談」を促す。
2. 上司自身も部下について病院等へ相談する。
3. 職場で何が起きているのかという事実情報を感情を交えずに時系列的に病院等へ伝える。
4. 「相談」の成果は ”本人の自己理解を促すこと”と認識する。
5. 仕事のやり方や指示の受け方、コミュニケーションの方法について、障害特性を鑑みつつ、工夫できる方法を話し合う。
6. 誰にもある発達障害の特性に気づき、受け容れる。
ここまで問題社員と発達障害を関連づけて見てきましたが、問題社員に特化した発達障害との関連ではなく、健常的に働く社員にも通じる特性として捉えることで、新たな職場の活性化手法となる気がします。やはり大切な事は、どうすれば仕事がうまくいくかという観点で職場において何度も話し合いをすることだと再認識しました。