組織としての相談窓口の設置について
2022/04/08
中小企業へのパワハラ措置の義務化がスタートしましたね。この機会に相談窓口担当者に任命された方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
相談窓口の設置は、パワハラに限らず、セクハラやマタハラ措置に対しても必要とされていますので、ハラスメント対応窓口として一手に引き受けている方も多い思います。
労働施策総合推進法の第30条に、このパワハラを防止するための雇用管理上講ずるべき必要な措置についてや、相談者に対する不利益取扱いの禁止について定められています。
今回の法改正は、単に相談窓口を設置するだけでなく、相談があった場合に、適切な対応が取れるような体制整備が求められています。
「4月から、相談窓口担当よろしくね。」と短絡的に担当決めがなされた方は居ないとは思いますが、小規模企業は特に、体制づくりに思料されているのではないでしょうか。
相談窓口に適した人とは、気軽に話しかけやすく、口が堅そうな人…なのでしょうか。そう言われて任命された方、自身のメンタル不調には、くれぐれもお気を付け下さい。もちろん窓口担当としての向き不向きはあるでしょうが、相談窓口は組織の中の役割に過ぎず、個人が担うものではありません。
会社としてどう対応すべきかを決め、複数名で担当しても、誰もが同じ結論に導けることが必要です。相談時は一人で対応するにしても、相談窓口は一人ではありません。組織として自社がどうあるべきかの方向性を取り決めることが重要です。口が軽い、堅いではなく、守秘義務の問題です。
相談窓口として、一番重要なのは、安心して相談してもらえることです。相談しても無駄だと思われるようでは、法律上の措置を講じたとは認められない可能性もあります。
相談窓口担当者として言ってはいけないNGワードを少し紹介します。
①あの人はみんなに言ってるから、気にしなくていい。考えすぎじゃないか。
②どうして拒否しなかったの。あなたに隙があったのでは。
③悪い人じゃないから、問題にしない方がいい。
④個人的な問題だから、当人同士でじっくり話してみたら。
⑤あの人ならやり兼ねない。
いかがでしょうか。
相談窓口担当者は、主観で判断してはいけません。相談者が、窓口へ申し出るまでにはかなりの期間悩んだはずです。そして、「相談者」と表現されているように、相談者が被害者であるとは限りません。
まずは話を最後まで聴き、相談者の立場になって聞いた上での共感を示つつ、決して同意はせずに事実関係を把握し、相談者の意向確認をします。ただ聞いて欲しかっただけなのに、先回りしてしまい、結果、相談者が望まない方向へ話が大きくなっているようでは、安心して相談できる窓口とは言えません。
ヒアリングの際に使える記録表を用意することをお勧めしますが、冒頭には
①相談時間の確保について。※長くても1時間。足りなければ別日に再度確保する。
②メモを取ることの承諾について。
③相談者の承諾なしには開示しないこと。
④不利益な取扱いをしないこと。
の説明をします。
ヒアリング時は、肯定も否定も、励ますことも避けます。あくまでも傾聴を心掛け、客観的な事実を把握して下さい。腕組や足組などの威圧感ある姿勢もNGです。最後には、
①メモを元に聞き取りに間違いがないか。
②希望する解決方法。
③調査の見通し
などを確認し、せっかくの相談を長く放置しない体制づくりも必要です。
風通しのよい職場環境づくりをすることで、従業員の定着率が上がり、求職者からの応募も増え、人手不足が解消される…。そんな先を見通しながら、法改正を活用していきましょう。ハラスメント研修や配布時の資料は、厚生労働省の「あかるい職場応援団」もお勧めです。
◆あかるい職場応援団/ダウンロードコーナー
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/jinji/download/