社会保険の適用拡大
2022/05/09
法改正により2022年10月より短時間労働者への社会保険適用が拡大されます。2016年10月より従業員数が501人以上いる企業(特定適用事業所)については、①週の所定労働時間20時間以上、②月額賃金が8.8万円以上、③1年以上雇用する見込みがある、④学生でない(休学中や夜間学生は除く)に当てはまる者は社会保険の加入対象になっています。
2022年10月より、要件の一部が変更になります。内容としては、従業員数501人以上が101人以上となり、③の1年以上雇用する見込みがある者が2ヶ月以上雇用する見込みがある者へ変更されます。
この従業員数の数え方ですが、(フルタイム従業員)+(1週間の所定労働時間および1ヵ月間の所定労働日数がフルタイム従業員の4分の3以上)になります。
全従業員数や適用拡大により加入要件を満たす従業員数とは異なりますので、ご注意ください。
2022年10月の適用拡大に該当する企業については、日本年金機構より8月までに新たに適用拡大の対象企業となる通知書が届きますので、あわせてご確認ください。
改正により、要件に該当する者については強制的に加入することになるため、従業員向けへ社内周知を行うとともに、企業側が負担する分の社会保険料がどの程度増加が見込まれるのかを検討していく必要があるかと思います。
加入するメリットしては従業員自身が健康保険の傷病手当金や出産手当金が受け取ることができるようになり、厚生年金保険についても基礎年金に上乗せして、「報酬比例」の厚生年金を受け取ることができるようになる。
一方、デメリットとしては企業側の社会保険料の負担増や、扶養の範囲内(130万円)で働くことを希望する従業員が週の労働時間の削減を希望したりすることもあるかと思います。
2016年10月の適用拡大時には、週の所定労働時間を削減したり、パート等を正社員へ転換したりする企業も多くあったが、週の所定労働時間を20時間未満に削減した場合は雇用保険の加入要件を満たさなくなります。雇用保険は失業給付の受給にも関係するだけでなく、育児休業給付金の受給にも影響してくるため、労働時間を削減する際には慎重な対応が求められます。
また、2024年10月には従業員数101人以上が51人以上への変更が予定されており、更に適用する企業が拡大されます。どの程度の人数が加入対象になるかなどを把握していく事が重要になります。