在職定時改定について(再紹介)
令和4年4月より、改正された年金制度の中で、今回は再度、老齢厚生年金の在職定時改定をご紹介します。
年金の新制度「在職定時改定」とは
在職中である年金受給者の支給額を定時に改定する制度です。この制度により給与から差し引かれた厚生年金保険料がより年金額に反映されやすくなり、在職中の年金受給者にとって大きなメリットと言えます。背景には労働人口の減少や高齢化が進む中、経済基盤を安定させるため事業主には70歳までの就業機会確保の努力義務を課す一方、長く働く従業員の勤労意欲を刺激する狙いがあります。
*旧制度(退職時改定)
老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金保険料を納付していても、すぐに年金額に反映されませんでした。年金額が改定されるのは資格喪失時であり、資格喪失時とは一般的には退職時や70歳到達時となります。そのため、65歳以降老齢厚生年金を払っていても最大5年間年金受給額に反映されませんでした。
では新制度において、年金の支給額は具体的にどの程度増えるのでしょうか。
例えば、65歳以降に標準報酬月額が20万円で厚生年金に加入し、その後1年間勤務して在職定時改定が行われた場合の増加額は以下の通りです。
年間の増加額:約1万3,000円
1か月の増加額:約1,100円
65歳から勤務した場合、退職または70歳までに最大4回の増額が見込まれます。働いた分少しでも年金が増えていくのが実感できると働くモチベーションに繋がりますね。
改定時期は毎年10月となります。9月1日の時点で厚生年金の被保険者である場合、前月である8月までの加入実績に応じて10月から年金額が改定されます。改定された10月分の年金は12月に支給されます。
本改正は高齢者雇用のあり方が注目される中、有意義な改正でした。企業も長く働いてくれる人材の活用方法を真剣に考えるべきと言えます。