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4月からの成年年齢引き下げ 労基法への影響は?

   

今年4月1日から施行された民法の改正により成年年齢が20歳から18歳引き下げられましたが、労働基準法への影響はあるのでしょうか。

 

民法において

第5条(未成年者の法律行為)

1 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

とあります。

 

こちらを根拠として、労働契約を締結した際には未成年者は親権者等の同意が必要であるとされています。

 

また労基法においても未成年者の労働契約解除権の規定があります。

(未成年者の労働契約)

第五十八条

1 親権者又は後見人は、未成年者に代って労働契約を締結してはならない。

2 親権者若しくは後見人又は行政官庁は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては、将来に向ってこれを解除することができる。

 

第五十九条

未成年者は、独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は、未成年者の賃金を代って受け取ってはならない。

 

これらの規定における未成年者とは今後18歳未満と考えることとなります。

ただし、民法改正以前より労基法の多くは未成年ではなく、「年少者」(満15歳に達した日以後の最初の3月31日が経過した者で満18歳未満の者)を対象とするものとなっています。そのため、改正による影響は大きくないと言えそうです。

 

年少者(満18歳未満)の労働条件には以下のような制限が設けられ、保護されています。

○一部抜粋

・36協定の締結によっても、原則として時間外労働・休日労働をさせることはできない

・原則として変形労働時間制(ただし特例あり)、フレックスタイム制は適用されない

・深夜労働(午後10時~午前5時の労働)をさせてはならない(例外あり)

・重量物を扱う業務、有害な場所における業務に就かせてはならない

・坑内労働させてはならない  等

18歳、19歳の労働者の雇い入れ時に民法を根拠に今まで行っていた同意書等により「親権者等の同意」を得ることは法律上不要です。一方で、改正民法の施行に関わらず、引き続き20歳未満の労働者には保護者の同意を求めるとする企業もあります。法律によって成人年齢が引き下げられたとしても、18、19歳であればまだ保護者の支援によって生活をする学生の方も多く、判断力が成熟しきっているとは言い難いかもしれません。今後の同意書等の取扱いについては、契約において錯誤等から発生するトラブルを防止する観点をもってご検討いただければと思います。

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