ドライバー
アメリカの臨床心理学者テイビー・ケーラーは、「人生脚本は、人生早期に親の影響の下に身につけた、人生をどう生きるか、人生の重要な局面でどう行動するかを指図するものだが、それは日常生活の短い時間にも演じられ、言葉や声の調子、表情、態度や行動に一定のパターンで現われるもの、中でもその人の特徴を表す5つのパターンを『ドライバー(駆り立てるもの)』」と名付けました。
5つのドライバーとは、①完全であれ ②急げ ③一生懸命やれ ④人を喜ばせよ ⑤強くあれ です。
次に特徴と「留意点」・「強み」を見ていきます。
①完全であれ:「くどいくらい丁寧に説明する」
冗長になって、聞き手をうんざりさせることにもなりかねない。
反面、完全に説明しようとする態度は誠実であり、責任感の表れであり、可能な限り情報を伝えようとした行動である。
②急げ:「仕事が遅いとイライラする」
早くやろうと焦ってミスする時もある。
反面、仕事が遅いとイライラするのは、それだけスピードの大切さを肌感覚でもっているということ。その感覚で何事も予定より早く完了することは、現代求められる仕事の進め方である。
③一生懸命やれ:「頑張ろうとよく言う」
いつも「頑張れ」という言葉をかける管理者は、その言葉で部下を叱咤激励、努力を促すが、部下は心身ともに疲弊し、返って生産性を落とすこともある。
反面、努力することは、仕事の成果をあげるために大変重要である。それは成功するために必要な最後まで諦めない情熱、バイタリティー、エネルギーの源泉である。ポジティブな「頑張ろう」はそれを引き出す言葉でもある。
④人を喜ばせよ:「人の意見を確認したくなる」
相手の意向を気にして何かと確認をしてから仕事を進めようとする。相手の承認を得ようと気を遣いすぎて、自分のしたいことが実現しない場合がある。
反面、相手の意見を確認することはビジネスの世界では必要なコミュニケーションである。相手が上司であれば承認を得る行為にもつながり、同僚であれば情報の共有である。また、相手が部下であれば部下が自分で考えて行動する自律を促す働きかけや傾聴にもつながる。
⑤強くあれ:「苦しい時も弱音は吐かない」
辛い感情を表現しないので気軽に援助を求められない。
反面、苦しい時や悲しい時に、感情を表現せずじっと耐えられるのは、忍耐力、胆力をもっている証である。困難な時も、平常心でセルフコントロールし、人に頼らず打開策を考えられることは、しなやかさにも通ずる。
このようにドライバーを「強み」として活かすことで、「顕在化する能力」(コンピテンシー)の明確化ができ、仕事に有効に活用することができます。
また、管理職の部下育成力研修や中高年社員の自律的キャリアデザイン研修に活用することもできます。弊社でもスタッフの「強み」発見に繋げていきたいと思っています。