カスタマーハラスメント
厚生労働省が作成した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」において、カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」と略します)の定義が示されています。
「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」
とはいっても、相手はお客様である可能性が高いため、暴力行為に及ばない限り警察を呼ぶことはできません。ただ、ただ、ひたすら謝って耐えるしかないのでしょうか。そこで問題になるのが、会社側責任者管理者の対応です。
自社の社員が多くのお客様の面前で怒鳴られているのを放置するようなことをすれば、当該社員は精神疾患を発症する可能性が高くなります。その時に、店長なり責任者がクレームなり、叱責に対して矢面にたつこと等当該社員の就業環境が害されることから解放する行為対策が重要となります。労働契約法第5条における安全健康配慮義務と職場環境配慮義務の全うが会社側責任者管理者には求められるということです。それを怠ると、カスハラに係る損害賠償請求を会社がうける事態にもなりかねません。
では、どんな対策が必要なのでしょうか。まず、カスハラに該当するクレーム・言動を明確化します。
① 身体的な攻撃(暴行、傷害)※これは警察への通報が優先します。
② 精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉棄損、侮辱、暴言)※これも証拠によっては警察への通報が優先します。
③ 威圧的な言動
④ 土下座の要求
⑤ 継続的かつ執拗な言動(長時間の拘束・電話・居座り、度重なる来店・電話等)
次に、カスハラを受けたと感じた場合に直属の上司へ報告させる体制作りです。上司は、重大な事案等については、警察や弁護士への相談や法的対応を決断する必要があります。そして、被害者を加害者との対応の担当から外すことがポイントとなります。カスハラは、パワハラやセクハラと異なり、会社だけで加害者への処分等を行うことによって対応することが難しいという特徴があります。渦中の被害者である社員をまず庇護する必要があります。確かに社員側に過失や原因がある場合は、誠意ある謝罪が会社には求められることになりますが、権利ばかりを主張する一方的な要求・言動に対しては、確固たる姿勢で臨む必要があります。
「お客様は神様です」をなにがなんでも押し付けることはもはや国のガイドラインが許さない時代となってきました。理不尽なわがままを押し付けれたら、たとえお客様であっても「NO」をいえる環境整備が求められます。