5類移行に伴う社内手続きについて
未知のウィルス出現から3年以上が経過し、ようやく今月8日に「新型コロナウィルス」の感染症法上の位置付けが、2類から5類へと移行されました。耳慣れた疾病でいうと、2類には「結核」「ジフテリア」等が該当し、5類には「(季節性)インフルエンザ」「麻疹(はしか)」等が該当します。
マスクの着用については、3月13日から個人の判断に委ねるとされたものの、電車やバスなどの混雑した場面や、病院などでは着用が推奨されているため、身近な場面でもマスク着用を継続する人の方が多く感じられました。気温が上がってきたこともあり、最近になって街を歩く人の中にも、2割程度はマスクを外しているように思います。
今回の5類移行に伴い、店舗ではレジ前の飛沫防止シートが外されたり、感染対策の掲示物を撤去したりという動きもあるようです。レジの飛沫防止シートはマスク着用とのダブル遮断で、店員の声が全く聞こえないことが多く、聞き直すことを諦めてしまった…と共感してくださる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そういうストレスが減っていくのは確かに嬉しいことです。
ただ、第9波到来時の感染が大規模になるとの見方もあり、冷房稼働時の密閉時期への不安はあります。子供のころ、寒い冬に先生から「換気」と言われても、率先して窓を開けた人も少ないと思いますが、この3年間の経験で「換気」がいかに大事であることは実感させられたはずです。仕事に集中してしまうとつい後回しになることですが、定期的な換気はぜひ続けていきたいですね。
テレワークや時差出勤の定めをされた会社も多くありますが、新たな働き方として継続していくのか、縮小していくのか、検討することも必要です。
感染症が広がり始めた当初、当社へのご質問で多かったのが「雇用調整助成金」の申請方法や要件についてでしたが、その次には、「従業員が発熱したら…」「休業手当の支払いは…」と言った、新型コロナウィルスに感染した場合、感染の疑いがある場合の就業制限と賃金の支払い有無についての内容でした。
労働安全衛生法上では「結核」以外の感染症について明記されておらず、結核以外の感染症に従業員が罹患した場合に仕事を休む場合は、あくまでも「事業主の責に帰すべき事由」かどうかにより、休業手当の有無が判断されます。(平成12年3月30日 基発第207号 第四)
感染症法第18条の就業制限でも、1類から3類又は新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止する必要があると認めた場合に都道府県知事が通知するとあるため、感染症法の2類に該当する鳥インフルエンザ(H5N1)に感染した従業員を就業禁止する場合は、国等の公的機関から外出禁止や外出自粛等の要請がない場合は、休業手当の支払いが必要となります。
また、就業禁止だけではなく、新たに新型コロナウィルス関連の特別休暇制度を導入された場合も見直しが必要です。働き方改革推進支援助成金の職場意識改善特例コースを絡めて導入された会社は、今回の5類移行を機に特別休暇制度を廃止すると、支給取消になるのではと心配されるところですが、こちらについては助成金完結済みのため影響はありません。
ただし、社内規則の改正は使用者の判断で簡単にできるものではないので、第9波の様子を見てじっくりと労使で検討されることをお勧めします。制度廃止が不利益変更とならないためにも、「感染症法の1類から3類又は指定感染症に認定された場合に限り適用する。」や「感染症法の5類に移行した場合は適用しない。」などの文言追加はお勧めです。
再流行することなく、コロナ前の日常が早く戻るといいですね。