賞与支給に係る社会保険料徴収の手続き
6月に賞与を支払われる事業所もあるかと思いますので、賞与支給に係る社会保険料徴収の手続きについてまとめました。
賞与についても毎月の社会保険料と同率の保険料を納めます。賞与の保険料額は標準賞与額に基づいて決められます。
○標準賞与額とは
賞与支給額の1,000円未満を切り捨てた額のことをいい、保険料の計算は「標準報酬月額・保険料額表」を使用するのではなく、標準賞与額に直接、保険料率を乗じて計算します。
保険料率は健康保険(協会けんぽ)が都道府県単位保険料率、厚生年金保険が平成29年9月から1000分の183.00で保険料は事業主と被保険者が折半で負担します。
○実務上の手続き
賞与を支給した事業主は支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」により支給額等の届出が必要です。
※1年間に4回以上支給されるものは報酬とみなされる為、標準報酬月額の対象となり、この届出は不要です。
また、日本年金機構に登録されている賞与支払い月に賞与を支払わなかった場合には「健康保険・厚生年金保険 賞与不支給報告書」の届出が必要となります。
「被保険者賞与支払届」については日本年金機構に登録されている賞与支払予定月の前月に、事業主へ被保険者の氏名、生年月日等を印字したものが送られてきます。事業主はこれに被保険者ごとの賞与額などを記入します。
転職等により、同一年度内に複数の被保険者期間がある場合で、標準賞与額の累計が573万円(健康保険の年間の上限額)を超える旨の申出が被保険者よりあった場合に、事業主を通じて「健康保険標準賞与額累計申出書」を提出することになっています。申出書を一度提出した場合でもその後に、同一年度内に賞与が支払われた場合はその都度、申出書を提出する必要があります。
同一年度内において被保険者期間が継続している場合はこの申出書の提出は不要です。
○保険料納付について
賞与支払届により被保険者ごとの保険料が算定されますが、賞与の保険料はその月の保険料とあわせて、原則として翌月の納入告知書により請求されますので、月末までに納入します。事業主は賞与支払時に被保険者負担分を控除します。
○資格取得月や喪失月の取り扱い
資格取得した月に支給された賞与は保険料の対象となりますが、資格喪失月の賞与は対象となりません。ただし、健康保険での年度累計の対象にはなります。
資格取得と同じ月に資格喪失があった場合は、資格取得日から資格喪失日までに支払われた賞与は対象となるので、賞与支払届の提出は必要です。
○育児休業の取り扱い
育児休業期間中に支払われた賞与についても、休業開始日や期間にかかわらず賞与支払届の届出が必要です。
育児休業中に支給された賞与に係る社会保険料は、「賞与支払月の末日を含んだ、連続する暦日1ヶ月を超える育児休業で、年金事務所および健康保険組合に免除申請した場合」に免除されます。
以上のように賞与支払時には正確な保険料の徴収ができるように、賞与支払届の届出が必要です。