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健康診断の実施は法律で義務づけられています

      2023/07/18

労働安全衛生法第66条では、事業者は労働者に対して健康診断を実施しなければならないと定めています。実施しなければ法律違反となり罰則を受けることもあります。

 

事業者に実施が義務づけられている健康診断には、定期的に行う一般健康診断と、有害業務に従事する労働者に対する特殊健康診断、じん肺健康診断、歯科検診があります。

 

〇一般健康診断の種類には5種類あります。

1・雇入時の健康診断

2・定期健康診断→1年以内ごとに1回の実施が必要です。

3・特定業務従事者の健康診断→坑内労働・深夜業などの労働安全衛生規則第13条第2号に揚げる業務に常時従事する労働者に対して、配置替えの際、6か月以内ごとに1回の実施が必要です。

4・海外派遣労働者の健康診断→海外に6か月以上派遣する場合、派遣に行く時と、帰国後国内業務に就かせる時に実施が必要です。

5・給食従業員の検便→雇い入れの際、配置替えの際に必要です。

 

また、有害な業務に常時従事する労働者に対しては、原則として、雇入れ時、配置替えの際及び6か月以内ごとに1回(じん肺検診は管理区分に応じて1年〜3年以内ごとに1回)特別の健康診断を実施する必要があります。

 

〇健康診断をする必要がある対象者は常時使用する労働者が対象です。

パートタイマーやアルバイトであっても、週の労働時間が正社員の3/4以上で、1年以上継続して雇用する場合は、健康診断の対象となります。

 

〇健康診断の結果を労働者へ必ず通知しなければなりません。

 

〇健康診断の結果についての医師等からの意見徴収と措置

結果に異常のある労働者がいるときは、健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聞かなければなりません。医師の意見を聞いた結果、事業者は必要があると認めるときは、作業の転換や労働時間の短縮等の適切な措置を講じる必要があります。

 

〇健康診断の結果に基づく保健指導

特に健康の保持に努める必要がある労働者に対して、医師や保健師による保健指導を行うよう努めなければなりません。

〇健康診断結果の保管義務

健康診断を実施したら、健康診断個人票を作成し、5年間保管しておく必要があります。(特殊な業務については、5年以上の場合があります)

 

〇常時50人以上の事業場では、定期健康診断結果報告書を所轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。

 

〇健康診断を行わなかった場合の罰則

行う義務があるにもかかわらず、会社が行わなかった場合には、50万円以下の罰金に処せられます。

 

〇個人情報に関連する注意事項

健康診断を行う際に特に注意すべきなのが、要配慮個人情報の取り扱いです。

要配慮個人情報とは、平成29年の個人情報保護法改正で新設されたもので、信条や病歴、犯罪歴などの情報のことをいいますが、健康診断の結果や面接などを通じて得られた健康情報・ストレスチェックの結果・障害に関する情報なども要配慮個人情報に含まれます。

 

要配慮個人情報については、原則本人の同意がなければ、その情報を取得することはできませんが、法令に基づいて実施した健康診断結果は、同意を得ずに取得することは可能です。例えば、法令項目に含まれる血圧検査や心電図検査は同意なしで取得できますが、法令項目以外のがん検査などの情報を取得するには、本人の同意を得る必要があります。

 

事業者は労働者に対して安全配慮義務を負っています。事業者が負う安全配慮義務を遵守するために、長時間労働を抑制したり、職場環境を整えたりする必要がありますが、同時に労働者の健康状態を把握しておく必要もあります。放置をしておくと、後々、大きなリスクが企業にとっても労働者にとっても発生することになります。労働者の体調不良を早期に見つけるためには、健康診断の実施は安全配慮義務の一環として、重要なことであると言えるでしょう。

 

 

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