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解雇予告と雇止めの予告について

   

会社からの働きかけによる退職時のルールでよく混同してしまうのが、「解雇予告」と「雇止めの予告」です。

似ているようで、全く異なるものですので、今回違いについてまとめます。

 

解雇と雇止めの違いについて

「解雇」とは使用者(会社)が一方的に労働契約を解約することを言います。一方、「雇止め」とは、期間の定めがある契約(有期雇用契約)を締結している労働者が、使用者から契約の更新を拒否され、契約期間の満了により雇用が終了する事をいいます。

 

解雇予告ルール

労働者を解雇しようとする場合において、少なくとも30日前にその予告をするか、30日前に予告をしない場合は30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。この予告日数は平均賃金を1日分支払った日数だけ短縮できます。(労働基準法20条)

 

解雇予告の明示

この解雇予告は、書面を交付することまで義務付けられていませんが、言った言わない等のトラブルを防ぐために、書面で提示することをおすすめいたします。

 

解雇理由の明示

労働者が退職日までの間において、解雇の理由について証明を請求した場合には、解雇理由の証明を遅滞なく交付する必要があります。

 

予告期間の計算

予告期間は民法に基づき、解雇予告がなされた日の翌日から計算されます。

 

解雇予告とその取消

原則として、会社が行った解雇予告の意思表示は取り消すことができません。

例外として、労働者が具体的事情のもとに自由な判断によって解雇予告取消の意思表示につき同意をした場合は取り消すことができます。しかし、労働者が解雇予告取消の意思表示に対して同意をしなかった場合、自己都合の退職とはならず、解雇予告期間の経過等があれば解雇が成立してしまいますので、注意が必要です。

 

解雇予告手当の支払時期

解雇の申渡しと同時に支払うべきである(昭和23年3月17日基発464)とされますので、通常の賃金と同じ時期に支払うのではなく、直ちに支払う必要があります。

 

解雇予告の除外

  • 労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合
  • 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合

上記に当てはまる場合、その事由について所轄の労働基準監督署長の認定を受ける必要があります。

ここでいう「労働者の責に帰すべき事由」とは、労働者の故意、過失又はこれと同視すべき事由ですが、判断にあたっては、労働者の地位、職責、継続勤務年数、勤務状況等を考慮の上、総合的に判断すべきであり、「労働者の責に帰すべき事由」が重大又は悪質なものであり、また使用者に対し労働者に30日前に解雇の予告を行わせることが当該事由と比較して均衡を失するようなものに限って認定されます。(昭和23.11.11基発1637、昭和31.3.1基発111)通常は、懲戒解雇を適用する際に「解雇予告除外認定」の届出を検討します。軽微な事由によるものは該当しないので注意が必要です。該当するかの判断はご相談下さい。

 

 

雇止めの予告ルール

以下の条件のいずれかに該当する有期雇用契約で、新たな契約更新をしないこととしようとする場合(更新拒否)には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、雇止め予告が必要となります。※あらかじめ契約を更新しない旨明示されている場合を除きます。

  • 有期雇用契約が3回以上更新されている。
  • 雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している。

 

雇止め理由の明示

上記基準に該当する労働者が更新をしないこととする理由について証明書を請求した時は、使用者は遅滞なく交付しなければなりません。

 

留意点 

  • 1年間の契約を締結し、初めての更新をしない場合には、上記のいずれにも該当しませんので、ルールは適用されません。※1年を1日でも超えている場合は②に該当しますので、予告が必要です。
  • 3ケ月毎に契約を3回更新して、4回目に更新をしない場合、雇入れ時から1年を超えていなくても、①に該当しますので予告が必要です。
  • 雇止めの予告は、解雇予告と同様に30日前とされていますが、解雇予告手当のように、30日前の予告ができない場合に手当を払わなければいけないといったルールはありません。しかし、雇止めの予告は労働者が次の働き口を探す為にも重要な予告期間となりますので、基準を守って事前に通知をしていただくようにお願いします。

 

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