トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント
2023/10/02
2019年4月(中小企業は2020年4月)、働き方改革の一環として労働基準法が改正され、時間外労働の上限が規定されました。その一方で適用猶予事業・業務については長時間労働の背景および業務の特性や取引慣行の課題によって、時間外労働の上限について適用が5年間猶予されていました。この猶予期間が2024年3月に終了し、いよいよ4月より適用開始となることから2024年問題として注目されています。
適用猶予事業のひとつであるトラック運転者の労働時間等の改善基準のポイントから1か月の拘束時間について確認していきたいと思います。
◇1か月の拘束時間
(現行)
拘束時間は、1か月について293時間を越えないものとする。
ただし、労使協定により、年間6か月までは、年間の総拘束時間が3,516時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を320時間まで延長することができる。
(改正)
拘束時間は、年間の総拘束時間が3,300時間、かつ、1か月の拘束時間が284時間を超えないものとする。
ただし、労使協定により、年間6か月までは、年間の総拘束時間が3,400時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を310時間まで延長することができるものとする。この場合において、1か月の拘束時間が284時間を超える月が3か月を越えて連続しないものとし、1か月の時間外・休日労働時間数が100時間未満となるよう努めるものとする。
◇改正後の3,300時間の考え方
2080時間 +260時間 +960時間(特別条項) = 3,300時間
(年間実労働時間数)+(休憩1時間)+(労働基準法改正の年間残業時間数)
(1日8時間×年間260日)+(1日1時間+年間260日)+(月80時間×12か月)
※3,300時間に休日労働は含みません。
◇改正後の284時間の考え方
195時間(173時間+22時間)+9時間+80時間=284時間
(月の所定労働時間+月22日稼働で休憩1時間取得)+(休日労働を1日した場合の1時間の休憩を含む拘束時間)+(1ヵ月辺りの労働基準法改正の残業時間数)
◇改正後の3,400時間の考え方
3,300時間+108時間(9時間×12か月)=3,408時間
(年間の総拘束時間)+(休日労働を1日した場合の1時間の休憩を含む拘束時間×12か月)
※改正後は8時間を削って3,400時間に決定しています。
◇改正後の310時間の考え方
284時間×(320時間÷293時間)=310時間
※現行の拘束時間と特例の割合を改正にあてはめた結果です。
今回は1か月の拘束時間について確認しましたが、1日の拘束時間、休息時間、連続運転時間等も同じく改正がなされます。
36協定届の様式変更への対策や、賃金制度の見直しが必要な場合もございます。準備に遅れが出ることの無いようにお早めにご対応ください。
厚生労働省:トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント
https://www.mhlw.go.jp/content/001080310.pdf