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メンタルヘルス疾患に関わる個人情報の取り扱いについて           塚原

   

従業員がメンタルヘルス(心の健康状態)の不調により病気になった場合、会社としてはそれに関する情報について慎重に管理する必要があります。メンタルヘルスに関する病気の情報は、個人情報保護法における「要配慮個人情報」に該当します。「要配慮個人情報」とは、「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報」をいいます。特にメンタルヘルスに関する情報は、誤解や偏見を招きやすいので、特に慎重に取り扱う必要があると思われます。

 

情報の取得にあたっては、従業員本人の同意のもとで適切な方法で行う必要があり、慎重に行わなければなりません。また、情報の正確性を保持することや個人情報の安全管理措置を取ることなども求められます。

「要配慮個人情報」に該当すると、人の生命の保護に関わる場合などの例外を除き、原則、本人の同意なしで第三者に開示することはできません。それが、本人の家族であっても本人の同意なしに開示することはできませんので注意が必要です。

 

その一方で、会社は従業員に対して安全配慮義務を負っているため、従業員の心身の安全を確保するために必要な配慮をする必要があります。そのため、会社はメンタルヘルスの病気になっている従業員に対して、健康情報を聞き出し、情報を共有する必要もでてきます。共有をしないことにより安全配慮ができずに、従業員に不利益が生じることも考えられるからです。

 

会社としては、病気の情報が「要配慮個人情報」であるということを十分考慮した上で、安全配慮義務を果たすという観点から、従業員本人と、社内の誰に、どこまでの内容を情報共有していいのかを話し合い、同意を得る必要があるでしょう。

 

また、採用面接時において、メンタルヘルスの状態や既往歴を聞くことについてはどうでしょうか。その場合、利用目的(労務の提供が可能な健康状態であるかどうかを確認する目的)を明確にして、その旨を通知し、本人の同意を得ることができれば、採用面接時において、メンタルヘルスの状態や既往歴を聞くことは可能になります。

 

本人の同意を得ずに個人情報を開示することは、個人情報保護法違反となり、行政処分の対象となったり、従業員から不法行為責任を問われることもありますので、注意が必要です。

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