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失業認定のオンライン化

      2024/06/03

雇用保険に加入することで受けられる給付制度に失業等給付があります。失業等給付には、失業された方が、安定した生活を送りつつ、1日も早く再就職できるよう求職活動を支援するための給付として「求職者給付」があり、求職者給付には一般被保険者に対する「基本手当」、65歳以上の高年齢被保険者に対する「高年齢求職者給付金」等があります。

 

基本手当いわゆる「失業手当」の給付を受けるまでの流れが以下となります。

 

①事業主がハローワークへ喪失届を提出し、求職者へ離職票が交付される。

②求職者は自宅住所地管轄のハローワークへ来所し、職業相談部門に求職の申込みを行った後、受給資格決定がなされる。

③求職者は説明会会場へ出向き、受給資格者証の交付を受けるとともにハローワーク職員から失業手当の受給に当たっての留意事項等の説明を受ける。

④4週間に1回ごとに指定された失業認定日にハローワークへ来所し、受給資格者証及び失業認定申告書を提出の上、ハローワーク職員との面談により失業の認定を受ける。

⑤ハローワーク職員は失業認定の結果をシステムに入力し、窓口で支給期間や支給額等が印字された受給資格者証を返戻するとともに、次回用の失業認定申告書を交付する。

⑥1週間後に失業手当を受給する。

⑦④以降を再就職をするか、失業手当支給終了まで繰り返す。

 

上記④のように失業手当を受給する為には、予め指定された失業認定日にハローワークへ来所する必要がありますが、厚生労働省はデジタル技術活用の見直しとして、2023年7月から、9都道府県の一部地域に住むハローワークへの来所が困難な者を対象に、オンライン面談を試行していました。ハローワークへの来所が困難な者とは、来所が大きな負担となっている者をいい、育児中の者、障害者、介護中の者、難病患者、長期療養者、自宅から管轄ハローワークへの来所に往復6時間以上かかる者とされています。

 

2024年1月までに427人が利用登録し、「体調を崩した子どもの面倒を誰かに頼まなくても自宅で失業認定を受けられるため安心できた。」「悪天候だったので来所する支度を考えるとオンラインできるのは助かった。」等の声があり、2025年1月から全国に拡大する方針が決定しました。全国拡大に伴い、管轄ハローワークへ来所するのに往復4時間以上かかる者も新たに対象となります。

 

前向きな感想がある一方で、「対面で職業相談をしたい」「システムの操作マニュアルのページ数が膨大でわかりづらい」とオンライン失業認定を選択しなかったり、不適正な申告が行われないか、対面窓口とオンライン双方に対応できるハローワークの体制が確保できるか等の課題もあるようです。

 

今後ますますデジタル化が進むことが予想されます。より便利な制度活用が出来ることを期待したいです。

 

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