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年金の65歳までの納付の延長について

   

新聞やニュースにて『国民年金の保険料納付を65歳まで延長を検討。納付額は約100万円増加。』との記事を見ました。実際に65歳まで延長されると、保険料や受給額はどのようになるのでしょうか。

 

政府は今年、5年に1度の年金の財政検証を行っており、およそ100年後までの給付水準の見通しを検証し、同時に加入要件や納付期間など制度改正も検討しています。その中で、65歳までの納付の延長が議題として出ているようです。まだ、65歳までの延長が確定された訳ではありません。

少子高齢化もあり、制度を支える現役世代が減少していく一方で、高齢化による年金受給者の増加もあり、引き続き財政が厳しくなってくることも予想され、安定的な財源の確保と給付水準の確保が目的かと思います。

 

現在の制度では、厚生年金保険に加入していない20歳以上60歳未満の自営業の方などは、国民年金に加入し、保険料を納付します。ひと月の保険料は17,000円ほどになり、年間にすると約20万円になります。

これを新聞の見出しの通り、65歳まで5年間延長すると、約100万円増加するという訳です。

 

勤め先にて厚生年金保険に加入している方については、今では多くの従業員が65歳まで継続雇用を通じて勤務しており、厚生年金保険に加入し続ける場合の影響はないと思います。

しかし、自営業者や60歳定年でリタイヤを検討している場合は影響があります。なお、厚生年金保険の被保険者に扶養されている配偶者(第3号被保険者)については、20歳以上60歳未満の年齢要件がありますが、この部分が改正されるのは不明です。一部では第3号被保険者制度自体の見直しも検討されているとか・・・。

 

もちろん、延長により年金額も増額されるはずですが、実際のところ支給が開始される時に、いくら受け取れるかは不透明です。

仮に現在の給付水準で試算すると年間10万円ほど支給額は増えることになります。100万円納付して、将来的に年間10万円ほどの年金支給額・・・元を取る訳ではないですが、65歳から支給開始され、10年後の75歳になると納めた額程度が戻ってくるくらいにはなるのかと感じます。

 

 

また、今年の10月からは特定適用事業所の要件(被保険者数)が現行の101人以上から51人以上に変更され、適用拡大がされます。

この点についても人数要件の廃止が検討されており、勤務する会社の人数で社会保険の加入/未加入や将来的な年金支給に不公平が生じることへの防止が期待されます。しかし、保険料については労使折半になるため、企業側の負担も増加するため、丁寧な説明と理解が求められます。

 

【補足】日本年金機構/令和6年10月1日から特定適用事業所に該当する適用事業所は、どのような手続きが必要ですか。

https://www.nenkin.go.jp/faq/kounen/tekiyoukakudai/tokuteitekiyou/tetsuzuki.html

(令和5年10月から令和6年8月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が6カ月以上50人を超えたことが確認できる場合は、日本年金機構において対象の適用事業所を特定適用事業所に該当したものとして扱い、対象の適用事業所に対して「特定適用事業所該当通知書」を送付する)

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