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カスタマーハラスメント対策

      2024/07/29

人に対するいじめや嫌がらせなどの迷惑行為を指す言葉「ハラスメント」。このハラスメントは今、様々な種類に派生しています。2019年に改正された労働施策総合推進法にて、企業にパワハラ行為に対する措置が義務付けられてから早くも5年が経過しました。企業においては従業員に対して研修を実施したり、就業規則の整備また対応マニュアルを作成されたりと対応が進んでいるものと思います。セクハラやマタハラについても男女雇用機会均等法で規制がされており、その認知度の高さが伺えます。

 

そんな中、ここにきて多く見聞きするようになったハラスメントのひとつがカスタマーハラスメントです。カスタマーハラスメントには法律上の規制が無い為、どのような行為が該当するのか、その定義は各企業に委ねられている状況です。

 

企業や職種によって顧客・取引先への対応方法や判断基準は異なりますが、ヒアリング調査の結果、企業の現場においては以下のようなものがカスタマーハラスメントに該当すると考えられています。

 

「顧客・取引先からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」

 

顧客・取引先からの要求内容の妥当性については、まずは事実関係、因果関係を確認し、自社に過失がないか、根拠のある要求がなされているかを確認します。要求を実現するための手段・態様については、そのクレームによって業務の遂行に支障が生じていないか、従業員の就業環境が害されるものであるかどうか等を確認します。その手段・態様が暴力的・威圧的・継続的・拘束的・差別的な点が社会通念上不相当であると考えられる場合はカスハラに該当し得ます。

 

企業におけるカスハラ対策の取り組みとして、以下それぞれの視点から実施することが望ましいと考えます。

事前の準備として、

  • 事業主の基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
  • 従業員のための相談対応体制の整備
  • 対応方法、手順の策定
  • 社内対応ルールの従業員への教育・研修

実際に起こった際の対応として、

  • 事実関係の正確な確認と事案への対応
  • 従業員への配慮の措置
  • 再発防止の為の取組み
  • ①~⑦までの措置と併せて講ずべき措置

 

厚生労働省は、今夏をめどに労働施策総合推進法にカスハラ対策を盛り込む場合の論点を詰めるとしています。深刻化するカスハラに対して対策の法整備は徐々に進んでいます。企業として対策へ取組むことは、理不尽な顧客・取引先から従業員を守るということを示すことができます。また職場環境をよくすることで離職者を減らすことに繋がるため、取組みへの意義は大きいと考えられます。

 

 

厚生労働省:カスタマーハラスメント対策企業マニュアル

000915233.pdf (mhlw.go.jp)

 

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