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遺族補償年金に関して

   

不幸にも労働者が仕事中や通勤途中の事故などが原因で亡くなった場合には、労災保険から遺族(補償)年金が支給されます。

死亡事故が稀であり、多くの業務災害が療養と休業補償の請求で終わるため、あまり申請する機会はなかったかと思います。

 

受給資格者は、労働者の死亡の当時に生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹です。

但し、

夫、父母、祖父母は55歳以上

子、孫は18歳になる年度の3月31日まで

兄弟姉妹は55歳以上 または 18歳になる年度の3月31日まで

と年齢要件があります。(一部、障害等級5級以上の者など年齢に関係なく、要件を満たす場合があります)

 

支給額は以下のとおりです。

遺族1人:給付基礎日額の153日分

遺族2人:給付基礎日額の201日分

遺族3人:給付基礎日額の223日分

遺族4人以上:給付基礎日額の245日分

*55歳以上や一定の障害を持つ妻1名のみの場合は175日分になります。

労災で妻を亡くした夫が、この夫と妻とで男女差があることに対して、2024年4月に違憲と訴えを提訴しています。個人的には制度策定当時とは家庭のあり方も変わっており、女性の社会進出も増えつつ現状をみると、今の時代には少し沿わないのかと思います。裁判の行方に注目です。

 

上記の受給資格者のうち、最先順位の者を受給権者とし、その者に支給されます。受給権者の順番は、基本的には配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹になります。

受給権者が死亡や婚姻した場合は失権となり、次順位者へ権利が転給されます。

 

また、制度の1つに『遺族補償年金前払一金』制度があります。

労働者が死亡した場合は、一時的にまとまったお金が必要になる場合もあります。通常の支給であれば年金形式で支給されますが、この制度を利用する事により給付基礎日額の200日~1000日分を一時金として支給されます。その分、一時金で支給した金額に達するまで、通常の遺族補償年金は支給停止されます。

 

その他にも埋葬料の支給もあります。これは埋葬を行う者に対して、「31.5万円+給付基礎日額30日分」もしくは「給付基礎日額60日分」の高い方を労災保険より支給されます。

通常は遺族に支給されますが、親族等の遺族がおらず、会社がお葬式などを行う時には会社へ支給されたりもします。

 

遺族補償年金とは異なりますが、先週の新聞では厚生年金保険での遺族厚生年金でも同様に男女による支給要件の違いがあり、国が制度の見直し検討を進める旨の記事がありました。そちらも、次回以降のコラムでご紹介できればと思います。

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