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技能実習制度から育成就労制度への改正

   

日本の在留外国人は2023年12月末時点(出入国在留管理庁調べ)で341万人です。2022年12月末時点では307万人でしたので、34万人増加したことになります。この数は、1年で日本のそれなりの市が1つ、2年で日本のそれなりの県が1つ増加する規模です。この増加を後押ししているのは、技能実習制度(非専門的・技術的分野)と特定技能制度(専門的・技術的分野)です。前者は2023年調べで18万3030人、後者は4万3626人の入国者数です。今回のコラムで取り上げるのは、①技能実習制度の改革と②特定技能制度における産業分野の追加および人数枠の再設定です。

前提として、2019年の入管法の改正により、特定技能1号(試験の水準は初級技能者のための試験で3級相当の技能検定合格水準)と特定技能2号(試験の水準は上級技能者のための試験で1級の技能検定合格水準)が創設されました。つまりは、専門的、技術的分野の労働者は積極的に受け入れるが、いわゆる単純労働者の受入れは限度を設けておこなうが方針でした。それが、入国者数をみても4倍強の差があり、技能実習制度を見直す必要がでてきました。ではどのように見直すのか?

それは、単純労働者として受け入れた外国人を、基本的に3年間の就労を通じた育成期間において計画的に特定技能1号の技能水準の人材に育成することを目指した改正です。それでついた名称が育成就労制度です。そのために、特定技能制度における人数枠を34万人から82万人に増加させ、「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」を追加し、さらに受入事業所について、これまで対象とされてこなかったスーパーのバックヤード(惣菜製造等)も対象とする改正内容です。

3年の間に3級相当の技能検定合格水準に達しなかった場合は、1年に限り、延長して育成就労が可能とのことですが、思惑通り、特定技能1号を増加させることはできるのか。育成就労制度は、2027年4月1日に施行される見込み(2024年6月14日に成立したため、2027年6月までに施行)ですが、その内容部分については、実務上重要な点の多くが「主務省令」に委ねられるのも日本らしい対応です。最後の技能実習生が2027年6月末に入国し、2030年6月ごろに帰国し、2030年7月ごろに完全に育成就労制度に切り替わることになるようですが、6年後の日本はどうなっているのでしょうか。

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