社会保険の適用拡大について
2016年から始まった社会保険の適用拡大について、対象の企業の範囲が来月10月から現行の従業員数101人以上から51人以上の企業まで拡大されることになります。施行まで間近となり、対象の企業においては、いろいろと事務処理に追われていることもあるのではないでしょうか
これまで、対象の企業の規模の要件が、従業員数101人以上の企業が対象であったのが、来月10月からは、新たに、従業員数が「51~100人」の企業も対象になり、そこで働くパート・アルバイトの方が、一定の要件を満たした場合には、「短時間労働者」として社会保険加入の適用となります。
すでに情報は周知のことと思われますが、改めて、内容等について詳しくみてみますと
1・企業規模要件の従業員数の考え方
この場合の従業員数とは、社会保険の適用事業所に使用される厚生年金の被保険者の総数のことです。つまり、正社員数と週の所定労働時間が正社員の労働時間の4分の3以上であるパート・アルバイトの方の数を合計した人数のことです。
ただし、厚生年金の加入は70歳未満のため、70歳以上で健康保険のみに加入している人は従業員の人数に含みません。
2・51人以上の判断について
過去12か月に厚生年金の被保険者数が51人以上であった月数が、6か月以上ある場合に、51人以上と判断されます。この企業のことを「特定適用事業所」といいます。法人事業所の場合は、同一法人格に属する(法人番号が同一である)すべての適用事業所の被保険者の総数、個人事業所の場合は、適用事業所単位の被保険者数となります。
3・加入対象者(短時間労働者)の要件
①所定労働時間が週20時間以上30時間未満であること
②月の報酬が88000円以上であること(残業代・賞与・臨時的な賃金は含みません)
③2か月を超える雇用の見込みがあること
④学生でないこと
以上の要件にすべて該当すると短時間労働者として社会保険の加入が義務になります。
4・適用拡大に関する通知について
2024年10月から特定適用事業所に該当する可能性がある企業には2024年9月上旬ごろまでに、日本年金機構からお知らせが届く予定です。
5・手続き
新たに対象となる従業員の社会保険の被保険者取得届の届出を出す必要があります。
対象の企業となった場合には、まずは、対象従業員の把握をして、従業員への説明、社会保険料の増加による経費の負担の対策、被保険者取得届の届出等、やらなければいけないことがあります。特に、従業員の説明には承諾するまでに時間を要することも考えられますので、社会保険加入の制度やメリットについての説明などを提示できるように、あらかじめ準備しておくことが重要であります。施行まであと1か月をきり、まだ対応をされてない企業においては、早急に対応をする必要があるでしょう。