労務相談、管理者研修、未払い残業代請求対策なら労務管理センター

確定拠出年金の自動移管について

   

退職金の一部として導入が増えている制度に企業年金があります。企業年金には確定給付型の厚生年金基金、企業型確定給付年金(DB)と拠出型の企業型確定拠出年金(DC)の3つの種類があります。

 

その中でもDCは個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入範囲が拡大した2017年以降会社員の加入者も増加し、さらに2022年には企業型確定拠出年金との併用加入のハードルが下がったことにより、ここ10年で加入者の伸び率は2倍以上となっています。

 

2017年から加入した方であれば7年を経過する頃になります。加入当時50代であった方は定年を迎えたり、他の年代の方でも離転職や早期退職を選択される方もおみえかもしれません。

 

そこで今問題となっているのが「自動移管問題」です。自動移管とは、企業型年金加入者が退職等による加入資格喪失後の翌月から6ヶ月以内に他の企業型年金、個人型年金、確定給付企業年金または企業年金連合会への個人別管理資産の移換を行わず、かつ脱退一時金の請求手続きも行わない場合に、個人別管理資産が国民年金基金連合会に自動的に移換されることです。

 

自動移管にはデメリットが多くあります。

・自動移管時に商品は売却され、現金で管理される為その後の運用ができない。

・運用できないにも関わらず、移管手数料、管理手数料等の費用が資産から控除され

る。

・自動移管中は老齢給付金の受取開始年齢の基準となる通算加入者等期間に算入され

ず、受給開始の年齢が遅くなったり、退職所得控除が小さくなる可能性がある。

 

国民年金基金連合会の報告書では2022年3月末時点で661,528人、2818億9,700万円が自動移管されたという数値が出ています。

 

自動移換されると「自動移換通知」が送られ、その後は年に一度「定期通知」が送られてくることになっています。これらの通知を見た覚えがある方は、速やかに手続きを行いましょう。自動移管がされてしまった場合でも企業型DCへの移管、iDeCoへの加入、脱退一時金で受け取る等の手続きをすることは可能です。但し、これらの手続きには手数料がかかる点にも注意が必要です。

 

なお、こうした自動移換を少しでも減らすために2018年5月1日以降は、新たに別の確定拠出年金制度(企業型DCもしくはiDeCo)に加入していることが判明した場合、本人の申し出による手続きがなくても、自動的にその新しい確定拠出年金へ移行されるようになっていますが、自身の資産を守るためにも忘れず手続きを行うようにしましょう。

 

 

 -