適正な労働時間の把握と賃金支払いの再確認
2024/11/11
厚生労働省が労働時間の適正把握に関する新しいリーフレットを公開しました。
今一度、適正な労働時間の把握と、労働時間に基づいた給与計算ができているかご確認ください。
○1日における時間外労働時間の端数を切り捨てていませんか?
1日における時間外の労働時間について、分単位の端数を切り捨て、切り捨てた分の残業代を支払わないことは労働基準法に違反しています。1分単位で把握することが原則です。ただし、端数を切り上げることは、労働者にとって有利になるため、問題ありません。例えば、端数の59分を切り上げて、1時間とすることは認められています。
○残業の申請を一定時間以上でなくても認めていますか?
例えば、30分単位で残業申請を指示している場合、30分に満たない端数の時間を切り捨てて、切り捨てた分の残業代を支払っていないことは違反しています。ただし、1か月間の時間外労働時間数の合計に1時間未満の端数がある場合は、30分未満の端数を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げることは事務簡便を目的としたものとして認められます。1か月間での取扱いでは認められていますが、1日での取扱いでは認められていませんので、注意が必要です。
○タイムカード打刻前の作業を労働時間として認めていますか?
タイムカード打刻前に、制服への着替え、清掃、朝礼等を義務付けている場合、当該作業を労働時間として取り扱わなければなりません。使用者の指揮命令下に置かれており、使用者の明示または黙示の指示により、労働者が業務に従事する時間は労働時間に該当する為、賃金の支払いが必要です。
上記でも一部、ご紹介しましたが、労働者の不利となるものでなく、事務簡便を目的としていれば、労働基準法第24条及び37条違反としては取扱わない下記のような通達があります(昭和63・3・14 基発150号)。
- 1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。
- 1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。
- 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。
未払い賃金が発生していて、従業員から未払い賃金を請求されないように、適正な労働時間の管理が大切です。勤怠管理システムを使用している場合にも、端数処理が正しく設定できているかご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001310369.pdf