安全衛生教育について
2024/12/17
顧問先企業で発生した労働災害に関して各種手続きをしていると起こる労災事故の原因はほとんどが些細な不注意に起因しており、多少でも注意喚起やルール(走らない、周囲の確認をする 等)を作っておけば防ぐことができたものが大半です。事故の可能性を予測して注意喚起できていた企業は急に人手を失うこともなく、労働保険料が増大してしまう(該当企業のみ)といったこともありません。
企業には安衛法や労働契約法を根拠として、従業員の生命や身体の安全、心身の健康などを確保して働けるよう配慮する義務があります。職場での労働災害を未然に防ぐための、安全衛生管理上の義務でもあります。
その一環として、労働者に対して行う安全衛生教育があります。義務となる安全衛生教育を大きく区別すると、
1.雇入れ時・作業内容変更時(すべての労働者)
2.特別教育(厚生省令で定める危険又は有害な業務につかせるとき)
3.職長等の教育(建設業、製造業等の政令で定める業種で新たに職長や直接指導、監督する者につかせるとき)
となります。一般的に危険が大きいとされる業種においては企業の自覚もあり、これらを実施することに力を入れていますが、比較的安全な屋内産業的な業種では省略が認められやすいため、1は業種や雇用形態を問わないにも関わらず実施をしていない企業が散見されます。
○雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育
事業者は、労働者を雇い入れたとき、又は労働者の作業内容を変更したときはその従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行わなければなりません。(安衛法59条1項2項)またその項目は安衛則35条により定められています。
ア 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること
イ 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること
ウ 作業手順に関すること
エ 作業開始時の点検に関すること
オ 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること
カ 整理、整頓及び清潔の保持に関すること
キ 事故時等における応急措置及び退避に関すること
ク その他、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項
ア~エについては安全について、オ~キについては衛生に関する内容です。
屋内産業的業種はア~エが省略できますし、十分な知識や技能がある者はその部分について省略もできますが、事業場内のルールを再確認させるといった意味でも出来る限り実施することをおススメいたします。また教育を実施しようとすると教育をする側は事業場内の事故が起こる可能性がある危険箇所や行為を予想しようとします。リスクアセスメネントを自然と行う状況ができ、これが非常に大きな企業のメリットだと考えます。
人手不足の昨今では、人材は貴重な資本です。失わないようぜひ安全衛生教育に力をいれてみてください。