高年齢者雇用確保に関する法改正
2025/03/24
少子高齢化の急速な進展に伴い、高齢者の雇用機会を確保することは多くの事業主にとって重要なテーマになっています。2025年4月から改正される高年齢者雇用安定法は、65歳までの雇用確保(継続雇用制度)を完全義務化とする大きな転換点となります。
高年齢者雇用安定法は、少子高齢化に伴い生産年齢人口(15~64歳)の減少が予想される中で、労働意欲を持った高齢者が長く働けるよう、労働機会の確保や労働環境の整備を目的に制定された法律です。1971年に制定された「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」がその始まりです。
2013年4月1日には、2013年度からの老齢厚生年金における受給開始年齢の引き上げを受け、年金受給の開始まで高年齢者が働けるよう「65歳までの雇用確保」の義務化を目的として改正されました。
2021年4月1日には「70歳までの就業確保」を努力義務とした改正案が成立し、施行。この努力義務から「70歳定年制」も話題にあがることとなっています。
そしてこの度、2025年4月改正にて65歳までの雇用確保が完全義務化となることで影響を受ける改正点について挙げていきます。
・高年齢雇用継続給付
職業生活の円滑な継続を援助、促進することを目的に支給される給付金で介護休業給付と並ぶ雇用継続給付のひとつです。高年齢者の就業意欲を維持、喚起し、65歳までの雇用の継続を援助、促進することを目的とし、60歳到達等時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者に各月の賃金額に対して一定の割合の給付金を支給する制度ですが、この賃金額に対しての支給率が縮小します。
・高年齢雇用継続給付の支給率
令和7年3月31日以前に60歳に達した日を迎えた人
→賃金の15%を限度として支給(従来の支給率)
令和7年4月1日以降に60歳に達した日を迎えた人
→賃金の10%を限度として支給(変更後の支給率)
高年齢者の賃金制度について、高年齢雇用継続給付の支給を見込んだ制度を導入している企業は、今回の高年齢雇用継続給付の縮小に伴う見直しが必要になると考えられます。なお、高年齢雇用継続給付は今後も段階的に縮小し、最終的には廃止する方針も示されています。
・継続雇用制度の改正対応
高年齢者雇用確保措置の経過措置を適用していた企業は、継続雇用制度の対象者を「希望者全員」へと改定しなければなりません。特に就業規則において経過措置に関する定めを記載している場合、該当条文を削除するなど、雇用契約の内容も含めて見直す必要があります。
高齢社会への対応は今後もますます多様化していきます。単なる労働力の確保としてだけではなく、経験や技術を次世代へ継承してもらうよう、すべての世代が働きやすい雇用環境の整備を目指していくことが重要です。
◆厚生労働省:高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続きについて
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001282595.pdf
◆厚生労働省:高年齢者の雇用
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page09_00001.html