■高額療養費の所得区分が細分化されます
2016/02/21
長期の入院や手術などによって、医療費が高額になってしまった場合、一定の金額を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。
被保険者、被扶養者ともに同一月内の医療費の自己負担限度額は、年齢及び所得に応じて決められた計算式により算出されます。
また、高額療養費の自己負担限度額に達しない場合であっても、同一月内に同一世帯で21,000 円以上の自己負担が複数あるときは、これらを合算して自己負担限度額を超えた金額が支給されます。(世帯合算)
なお、同一人が同一月内に2つ以上の医療機関にかかり、それぞれの自己負担額が21,000円以上ある場合も同様です。(70~74歳の方がいる世帯では算定方法が異なります。)
平成27年1月診療分より、高額療養費の自己負担限度額について、負担能力に応じた負担を求める観点から70歳未満の所得区分が従来の3区分より5区分に細分化されます。従来の区分と新しく決められた区分を比較してみますと次のようになります。
『平成26年12月診療分まで』
(1)上位所得者 標準報酬月額53万円以上の方
自己負担限度額 150,000円+(総医療費-500,000円)×1%
多数該当 83,400円
※多数該当とは、同一世帯で1年間(診療月を含めた直近12か月)に3回以上高額療養費の支給を受けている場合に、4回目からの自己負担限度額が変わることです。
(2)(1)上位所得者及び(3)低所得者以外の方
自己負担限度額 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
多数該当 44,400円
(3)低所得者 被保険者が市区町村民税の非課税者の方
自己負担限度額 35,400円
多数該当 24,600円
『平成27年1月分診療分より』 次のように5つの区分に変更になります。
(1)標準報酬月額83万円以上の方
自己負担限度額 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
多数該当 140,100円
(2)標準報酬月額53万円~79万円の方
自己負担限度額 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
多数該当 93,000円
(3)標準報酬月額28万円~50万円の方
自己負担限度額 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
多数該当 44,400円
(4)標準報酬月額26万円以下の方
自己負担限度額 57,600円
多数該当 44,400円
(5)低所得者 (被保険者が市区町村民税の非課税者等)
自己負担限度額 35,400円
多数該当 24,600円
(例)標準報酬月額40万円 総医療費100万円 窓口負担3割の場合
上記の(3)の区分に該当しますので 80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円
先に3割負担分の300,000円を窓口で払いますが、後日、高額療養費の申請をすることによって、300,000円- 自己負担限度額 87,430円=212,570円が戻ってきます。
また、入院される方や高額な外来医療費が予想される方は、先に申請することによって、最初から自己限度額を超えた分を払わなくてもすむ限度額認定証のご利用をおすすめします。
なお、今回の変更は70歳未満の方の場合の変更ですので、70歳以上75歳未満の方は従来どおりで変更はありません。