■事業場外みなし労働時間制
2016/02/21
先日、東京労働局が公表した、平成25年度における時間外労働に対する賃金不払いの是正結果。
割増賃金が適正に支払われていないとして是正指導した企業のうち、遡及支払い額が100万円以上になったのは142社、支払い額は22億円に上った。
申請できる残業時間に上限を設けていたり、自己申告した時間と実労働時間がかけ離れているといったケースが多い。
こんな状況で低いと言われている日本の労働生産性。実際はもっと低いということでしょうか・・・。
しかしながら、海外の高いと言われる労働生産性は果たして実態との乖離はどれほどなのだろうか?などと考えてもしまいます。
さて、そんな労働時間で問題が起こりやすい事業場外みなし労働についてちょっぴり触れてみたいと思います。
事業場外労働とは、労働者が使用者の事業場外で業務に従事し、使用者は何時間労働したのか算定し難い場合には、一定の労働時間とみなして取り扱うことができるといったものであり、労働基準法38条の2を根拠とするものです。
要件としては、
(1)労働者が労働時間の全部または一部について事業場の外で労働に従事したこと
(2)使用者が労働時間を算定し難いこと
で、あると。
参考として、
□労働時間の全部について事業場外労働をした場合
原則:所定労働時間労働したものとみなす。
例外:当該業務遂行に通常必要とされる時間が、所定労働時間を超える場合には通常必要とされる時間労働したものとみなす。
通常必要とされる時間については予め労使協定で定めることができる
□労働時間の一部について事業場内労働をした場合
事業場内の労働時間と事業場外での労働時間とを合わせてみなし労働時間となる、と。
行政は、この事業場内の労働時間は、算定できるのできちんと把握しなければならないと指導しております。
よって、所定労働時間8時間の事業場に於いて内勤2時間行ったあと、事業場外労働を行い直帰した場合は、その労働者のその日の労働時間は原則8時間とみなされる、と。
しかしながら、前述にもある、予め労働時間を労使協定で定めている(7時間と定めていると仮定した)場合、事業場内2時間と合せると1時間が割増賃金の支払い対象となる、と。
この事業場外のみなし制度を運用するにあたっては、非常に難しく、ただ、労働時間の一部について業場外労働をした場合であっても、始業及び終業時刻を把握できる場合には適用されないといった解釈が有力である為、一度この機会に見直されてみてはいかがかと考える次第です。