■モチベーションが上がらない?(金澤)
2016/02/21
こんにちは。なんだか最近、急に初夏のような気候になってきましたね。寒くなくなって嬉しい反面、暑いのも、それはそれでつらいなぁと我儘なことを思ったりしています。
さて、今回はモチベーションについてのお話をさせていただこうと思います。最近、「労働者のモチベーションが低くて困る」というお話を聞く機会が増えたことと、かくいう私も一時期、強烈なモチベーションクライシスに悩まされた経験から、個人的に今一番興味を持っている分野だからです。
今回は、よくあるモチベーション低下の事例をもとに、考えてみたいと思います。
<事例>「ずっとこの会社にいてもいいのだろうか・・・」
長い間、ひとつの会社に勤めていると、こう感じる人も少なくないと思います。同期がどんどん転職していくとか、何年も同じような仕事を繰り返していて成長している実感がないとか、自分のスキルはこの会社でしか通用しないもので、これ以上スキルを磨くことが無意味に感じる等々、中堅ならではの悩みとしてよくあるものです。
もしあなたの部下がこのような悩みを抱えていたら、どうやって説得しますか?もちろん説得できなければ、部下はさらにやる気をなくして会社を去って行くでしょう。せっかく育てた人材ですから、手放してはいけません。
そもそも、人が「ある集団(会社に限らず)に属していたい!」と感じるのは、どういった要因によるのでしょうか?これは、レヴィンが提唱した「集団凝集性」という概念で説明できます。さらにフェスティンガーらはこの集団凝集性について、人が集団にとどまろうとするのは「活動の魅力」「構成員の魅力」「特権の魅力」の3つの魅力によると説明しました。
「活動の魅力」とは、会社でいえば、企業理念や社会への貢献実感など仕事自体の魅力です。「構成員の魅力」は、一緒に働く仲間の魅力です。そして「特権への魅力」は、その会社に勤めることで得られる特権(社会からの尊敬や、その他の優遇措置等)です。
この3つのうち、より多くが満たされていればその集団から抜けようとは思いません。もし、自分の部下が「活動の魅力」を失っているようであれば、その魅力の回復に努力することはもちろんですが、その他の二つ「構成員の魅力」「特権の魅力」で説得することが出来るかもしれません。
「構成員の魅力」については、やはり上司の存在が非常に重要です。部下のモチベーションが上がらない要因として、上司に問題のあるケースは非常に多いです。パワハラ、セクハラなどはもっての外ですが、そうでなくても、上司が毎日辛そうな顔をして仕事を全然楽しめていない様子なのに、部下に「もっとやる気を持て!」と言ったところで、「いや、あなたこそ・・・」と思われるのがオチです。部下は上司を見て、自分の5年後、10年後を想像します。上司が毎日辛そうにしていたら、「自分もいずれこんな風になるのか・・・嫌だな」と思っても当然ですよね。
あなたの姿は、部下に希望を与えていますか?
経営者、管理職の方はもちろんのこと、人事にまつわる業務を担当されている皆様には、全従業員のモチベーションに気を配る使命があると、私は考えています。モチベーションは変動しやすいものですが、組織レベルの取組みにより、高い状態を維持することができます。モチベーションが高ければ、多少長時間労働になろうと精神疾患になるリスクは抑えられると思います。(もちろん、長時間労働は削減すべきですけども!)
人生の大半は仕事に費やします。会社で働く仲間は、家族よりも多くの時間を共有します。仕事が辛いということは、人生が辛いということです。そんなの、誰だって嫌なはずですよね。だったら、居心地がよくて積極的に貢献したいと思える魅力的な組織を作りましょう。みんなが本気になれば、絶対に実現できる、現実的な目標だと思います。