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路線バス終着から出発までは待機と割増請求

   

裁判年月日:平成29年9月26日  法廷名:大阪高裁

 

請求の内容

路線バスの運転手(甲)が、ターミナル到着から出発までと「待機時間」として、会社(乙)に割増賃金を求めた事案。

一審(大阪地裁 平成29年3月24日)は甲の主張する待機時間は労働時間に該当しないと判示して、甲の請求を却下した。この判決を不服とした甲による控訴審。

 

争点

ターミナル到着から出発までの待機時間は、甲は乙の指揮命令下置かれているかどうか。労働からの解放が保証されているか。

 

判決

甲の主張する待機時間は労働時間には当たらないとして、甲の請求を斥けた。

【判決のポイント】

労基法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない時間(不活動時間)が労働時間に該当するか否かは、指揮命令下にあるかどうか、労働からの解放が保障されているかどうかに因る。

  1. 到着後2分間及び出発前4分間で、移動や忘れ物確認、清掃が終わらないという的確な証拠はない。
  2. 待機時間中はバスを離れて休憩が認められていた。
  3. 休憩中は乗客対応や乗客の貴重品管理などを義務づけてはいない。
  4. 休憩時間中に別途、乗客対応を行った場合には、所要時間を記載して会社に報告することとなっていた。(=労働時間となる)

以上より、待機時間が労基法上の労働時間に当たるとの甲の主張は認められない。

【SPCの見解】

今後、ますます労働の多様性により、労働時間と休憩時間の区別が困難となってくる。

不活動時間が非労働時間たる休憩に当たるか否かは、以下の4つの要素に照らして総合的に判断される。

  • 実労働からの解放。
  • 労働解放の保障。
  • 場所的解放(滞在場所の自由)。
  • 労働解放時間の長さ(一定時間以上の労働解放)。

以上の4要素を念頭にして、個別具体的な判断と、適切な労務管理が求められる。

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